複数ある債務整理の中でも個人再生は少し複雑な制度となっています。
また一般的にもっともよく使われる債務整理である任意整理や広く知られている自己破産とは異なり、個人再生については正確な知識を持っていない人が多いことも制度利用を遠ざけている原因の一つです。
しかし個人再生は任意整理と自己破産の中間に当たる非常にバランスの取れた債務整理の方法となっています。
任意整理では対処しきれない金額の借金や、自己破産のリスクには耐えられない人に向けて個人再生は最適な債務整理となる可能性が高いと言えます。
債務整理の方法で悩んでいるのであれば、個人再生についても勉強しておくようにしましょう。
個人再生が他の債務整理と異なる点とは？
債務整理の方法のうち、任意整理に関しては借金の利息や遅延損害金のみをカットするものとなっています。
あくまでカットできるのは元の借金に付け足された利息や遅延損害金の部分だけなので、借金の元本は計画的に全額返済していく必要があります。
自己破産は裁判所の承認を得る形で全ての借金を免除する、債務整理の中でも一番強力な効果を持つ方法です。
しかし自己破産をしてしまうと家財のほとんどを処分することになり、実質的に資金ゼロの状態から再スタートするしかなくなります。
個人再生とは、利息だけでなく元本の圧縮まで行いつつ家財の処分をしなくても済む債務整理の方法となっています。
ただし個人再生で圧縮できる元本は借金総額によって複雑に変わってくるのに加えて、自己破産と同じように手続きには裁判所を通す必要があります。
個人再生を使うのに向いている状況とは？
個人再生は圧縮する借金総額の計算や裁判所や債権者との交渉など、債務整理の中でも特に手続きが煩雑になっています。
専門的な知識と経験なしで個人再生を適用することは極めて難しいため、債務整理に強い弁護士や司法書士の助力を得るのは必須となるでしょう。
ただし個人再生の費用は任意整理と比較すると高額になってきます。
借金の返済に追い詰められた状態で債務整理の費用を捻出するのは困難ですから、弁護士などへの相談は多少余裕の残っている早い段階で行うようにしましょう。
基本的に利息さえカットできれば元本返済が可能な状況であれば、個人再生ではなく任意整理を使う方が得になります。
個人再生を使うのに向いているのは、定期収入はあるものの借金返済に追いつかないといった状況が挙げられます。
収入自体が途絶えているなら自己破産をしてしまった方がいい場合が多いので、個人再生はあくまで借金を返せることが前提の制度であることを覚えておきましょう。
個人再生と債務整理のまとめ
利息を免除する任意整理や借金全額を免除する自己破産と比べると、個人再生の使い方はかなりわかりにくいのは事実です。
具体的に借金がどれだけ圧縮できるのかは弁護士や司法書士に計算してもらわないと正確な数字が見えてこないため、個人再生は債務整理の相談をプロにする中で提案されて初めて意識するのも普通のこととなっています。
実際に任意整理・個人再生・自己破産のどれが最適な債務整理なのかは相談者の借金状況や収入によって変わってくるため、まずはプロに相談をしてみるのが一番大切と言えるでしょう。
